Maker Generations
親子孫三代ものづくり魂
「人間はこんなに簡単に歩けるのに、ロボットはまだ二足歩行できないんだ。」
当時小学生だったら私に、機械科の教授だった父は言った。
それから私のロボット作りが始まった。
放課後や冬休みに、ダンボールやかまぼこの板にモーターなどを付けて、何とか動くものにした。しかし専門家だった父は、アトムのようなものを作ってみろ、と厳しかった。
それが子どもだった私には叱咤激励には聞こえず、いつしかロボットへの興味は薄れていった。
その後、大学に進むも、反発からか就職先はメーカーを選ばなかった。
そんな私にも男の子が生まれ、小学校に上がった頃だった。
子供の教育にも役立つからと理由をつけ、二人でまたロボットを作り始めた。
そしてそのお披露目の舞台、メイカーフェアに子供と出展した時だった。
どこで聞きつけたか、父がふらっと会場に現れた。
「ついに歩けるようになったじゃないか。」
親子孫三代のものづくり魂が受け遺れた瞬間だった。